12/07/2021
アプリケーション非依存のソフトウェア開発を一元化
ボッシュが汎用車載ソフトウェアの開発をETAS GmbHに統合
- アプリケーションに依存しない車載用およびクラウド用ソフトウェアの開発をETAS GmbHに統合
- ソフトウェアデファインドビークル向けソリューションを、より迅速、安全、かつ効率的に、自動車メーカーやサプライヤーへ提供
シュトゥットガルト(ドイツ)、2021年12月7日 – 将来のモビリティにおいてソフトウェアが中心となることを見据え、ボッシュ・グループは、市場での優位性を確保するための戦略的な取り組みを進めています。その一環として、車載用ベーシックソフトウェア、ミドルウェア、クラウドサービス、汎用アプリケーションの開発ツールなどの開発・販売を、今後はボッシュ・グループのETAS GmbHにおいて行っていくことといたしました。2022年の中頃より、現在ボッシュとETASにおいて各開発分野で働く総勢2,300名もの専門技術者がETAS GmbHに集結します。ロバート・ボッシュGmbHのモビリティソリューション事業セクター統括部門長であるシュテファン・ハルトゥングは、「ソフトウェア開発は、ボッシュの長年にわたるコアコンピタンスです。毎年、自社製のソフトウェアを組み込んだ2億個以上のコントロールユニットを、世界中の自動車に搭載しています。この新しい体制で、アプリケーションに依存しない車載用ソフトウェアのリーディングプロバイダーを目指します」と述べています。
ボッシュは1年前に、クロスドメイン コンピューティング ソリューションズ事業部を設立しました。この事業部は、ドライバー アシスタンスやインフォテインメントなど、数多くの車両分野に対応する特定のハードウェアを備えたアプリケーション特化型車載ソフトウェアを提供することを目的に設立された重要な事業部ですが、今後はETASにおいて、アプリケーションに依存しない車載用およびクラウド用ソフトウェアの製品ポートフォリオを統合していきます。これによって一元的なプラットフォームを開発し、各種ソフトウェアをパートナー企業と連携して迅速かつ効率的に開発できるようになります。シュテファン・ハルトゥングは、「当社の汎用ソフトウェア基盤は、最新のソフトウェアデファインドビークルのデジタル化に不可欠です」と述べています。ボッシュでは今後も革新的なソフトウェア機能を開発するため、自社の専門知識と汎用ソフトウェアプラットフォームを統合し、活用していきます。ロバート・ボッシュGmbHの取締役会メンバーであるマルクス・ハインは、「この統合により、ボッシュにUSP(ユニークセリングプロポジション)と大きな競争力が生まれます」と述べています。将来的に、ETASはこの汎用プラットフォームを実現し、付随する開発環境も合わせて各自動車メーカーやサプライヤーに提供します。
自動車メーカーにとって重要性を増すソフトウェア
従来の車両は、完成品として納品されるのが原則でした。しかし今後は、車両の耐用年数全体にわたって車載ソフトウェアが継続的に改良され、拡張されることになります。これにより、ドライバーはデジタルなユーザー体験を享受し、カスタマイズもできるようになります。また、メーカーにとっても新しいビジネスモデルの基盤が形成されます。こうした動きはまだ始まったばかりです。専門家の予測では、車載用ソフトウェアの市場は今後数年で数十億ドル規模となります。ボッシュでは、年間2桁の成長が2030年まで続くと見込んでいます。アプリケーションに依存しない車載用ソフトウェア部門をETASに一元化するというボッシュの組織再編は、この変革に対応するためのものです。マルクス・ハインは、「今後の車載オペレーティングシステムの開発において、当社はグローバル市場での地位をさらに拡大させたいと考えています」と述べており、ETAS GmbH取締役会会長のクリストフ・ハルトゥングは、「こうした戦略に向けて、当社は既存および新規のお客様に水平型の統合クロスドメインプラットフォームを提供し、ソフトウェアデファインドビークルの実現に向けたサポートを提供しています」と付け加えています。2021年2月に開始したボッシュとMicrosoft社とのパートナーシップは、新体制においても継続されます。このパートナーシップは、車両とクラウドをシームレスにネットワーク化するための包括的なソフトウェアプラットフォームを開発することを目的としており、車両の耐用年数全体を通じて車載用ソフトウェアをより迅速かつ容易に開発し、クラウドを介してECUやビークルコンピュータにダウンロードできるようにします。
ベーシックソフトウェアとミドルウェアのための、汎用性に優れたオープンなポートフォリオ
シートの電動調整、車載バッテリーの充電、エアバッグの作動、ラジオの視聴など、ソフトウェアは最新の車両のほぼすべての機能に不可欠な要素となっています。ソフトウェアは複数の層で構成され、それぞれが相互に連携しています。たとえば、パワートレインからインフォテインメントシステム、アシスタンスシステムに至るまで、自動車メーカーが個人のドライビングエクスペリエンスを実現するために使用するソフトウェアモジュールが1つの層を構成しています。ここは各ブランドの特長が見られるところであり、その違いは時として非常に顕著なものとなります。これに対し、ECU向けのベーシックソフトウェアやミドルウェアなどの層は、メーカーによって差異が生じる余地がほとんどありません。これらのソフトウェアコンポーネントが制御するのは、ECUや車載コンピュータの基本的なタスクといった、ドライバーが意識しない部分です。たとえば、ベーシックソフトウェアはプロセッサのパフォーマンスやメモリ空間を管理し、ECUが車両とクラウド間でデータをやり取りする際の通信方法などを決定しています。このソフトウェアは、いったん開発されれば、車両への実装箇所や車種にかかわらず、ほぼすべてのECUで使用できます。このような仕組みはスマートフォンと同様であり、セントラルオペレーティングシステムを使って多種多様なアプリを動作させることができます。クリストフ・ハルトゥングは、「新体制によって、市場やお客さまの新しい要求に、より一層的確に応えられるようになります。パートナーと協力して、既存のお客様と新規のお客様が車載用ソフトウェアの開発にまったく新しいアプローチをとることを可能にします」と述べています。今後は、オープンソースソフトウェアやエコシステムもますます重要な役割を果たすようになり、自動車メーカーやサプライヤーは今後、ソフトウェアをより効果的に開発の中心に据えることができるようになるでしょう。
アプリケーション非依存のソフトウェア開発を一元化
ETASは、12か国に約1,500名の従業員を擁しており、2022年の中頃には、さらにボッシュから800名の従業員が加わる予定です。両社は現在も密接に連携し、実績を収めています。この協業は、両社の部門合併によりさらに強化される見込みです。両社の従業員代表は今後、組織のあり方をさらに検討してまいります。
ETASについて
1994年に設立されたETAS GmbHは、ボッシュ・グループの完全子会社であり、欧州、北米、南米、アジアに海外営業拠点を展開しています。ETASは、車載用ベーシックソフトウェア、ミドルウェア、およびソフトウェアデファインドビークル向けの開発ツールといった多彩なポートフォリオを提供し、自動車メーカーやサプライヤーの開発・運用の効率向上を支援しています。当社はまた、ESCRYPTのブランドを通じて、自動車分野に特化した包括的なサイバーセキュリティソリューションを提供しています。
Anja Krahl
ETAS GmbH
Annett Fischer
Robert ボッシュ GmbH
日本での問い合わせ先
マーケティングコミュニケーション室
イータス株式会社
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