仮想化技術

組込みソフトウェア開発では、仮想化技術を利用することで、ターゲットハードウェアが完全に揃っていなくても、テスト、検証、適合を開発の初期段階で実行できます。仮想化技術を導入することで、ラボのテストベンチやHILシステムを使用して、新しいシステムの設計や挙動をPC上で詳細に分析できます。

ETASが提供する総合的な仮想化ソリューションは、仮想環境での開発タスク実行を可能にします。お客様に仮想化技術を余すところなくご利用頂くために、ETASのコンサルタントが徹底したプロセス分析をまず行います。 ETASの仮想化ソリューションを使用頂くことで、お客様には開発プロセスの効率化と実際のソフトウェア製品の品質向上を高いレベルで実現頂けます。

ETASの仮想化ソリューションのメリット

  • オープンツール、 モデル、エンジニアリングサービスやコンサルティングなどを含む総合的な提案
  • 開発サイクル全体をサポート
  • モデルベースのソフトウェア開発、ソフトウェアのテスト、検証、適合における長年の経験と実績

ETASの仮想化ソリューションは、組込みコントロールおよび制御システムのプロトタイプの作成とシミュレーションに高度な技術を使用しています。この高度な技術は、テストベンチまたはテスト車両を使用し、オフィス内のPCから仮想環境と実際のコンポーネントの統合を可能にしています。

 ETAS Solutions for Virtual Validationビデオ では、モデル・イン・ザ・ループ(MiL)およびソフトウェア・イン・ザ・ループ(SiL)を使用したソフトウェアのテストや検証において、開発の各段階でETASのツールをどのように活用できるかをご紹介しています。

早期のテスト、検証、適合

概要

仮想化技術は開発早期のテスト、検証、適合を可能にします

テストと検証は組込みシステム開発コストの半分以上を占めています。同時に、プロセス効率と製品の品質はテスト、検証、および適合の成熟度に依存します。

エラーが開発プロセスのより早い段階で発見できれば、バグ修正やリファクタリングの労力とコストをより削減できます。仮想化技術を用いれば全エラーの80%を事前に検出可能とも言われています。つまり、テストと検証は開発のできるだけ早い段階に開始する必要があるのです。さらに、開発の初期段階での適合作業は、テストベンチや実車などの高価なリソースを節約するのに貢献します。

「10の経験則 」– 故障を修理するコストは、それが発見されるまでの全ての段階で10倍ずつに増えていく

いまだに、テスト、検証、および適合はターゲットハードウェアとプロトタイプを必要とするケースがほとんどです。設計からテスト実施までの時間を短縮するために、ETASは既存のハードウェアから独立したテスト、検証、適合を可能にするツールとサービスを提供します。ETASは全体の開発プロセスをスピードアップし、コスト低減に貢献します。

開発中の仮想化技術活用

開発中の仮想化技術活用

ターゲットハードウェアやプロトタイプから独立しているため、仮想化技術を用いれば新たなコンセプトやデザインの効率的な評価が容易にできます。複雑なクロスドメイン機能など、システム挙動の詳細な調査を、早設計段階とほぼ同時に開始することができます。

システムレベルでの仮想化技術適用

仮想環境によって実現されるハードウェアの独立性は、組込みソフトウェア開発者にとって大きな利点です。ターゲットハードウェアまたはプロトタイプが利用可能になるずっと前の段階で、仮想制御ユニットに統合すれば、機能、個別のソフトウェアコンポーネント、完全なソフトウェアでさえテスト・検証できるのです。PCの仮想環境では、デバッグおよびエラー再生を電子制御ユニット(ECU)上よりはるかに早く実施できます。フラッシュプログラミングなどの時間のかかる手順を避けることができます。

ECUソフトウェアレベルでの仮想化技術適用

仮想環境を使用することで、開発プロセスの様々な段階での担当者 - 開発者、インテグレータ、テスター、さらにはメーカーやサプライヤーに至るまでが、フォーカスすべきポイントを見失しなったりデータ保護について妥協することなく、より緊密に協力し合うことができます。

ETASは仮想化ソリューションにESCRYPTの暗号化技術を統合することができるので、メーカーとサプライヤー間のデータ、ソフトウェア•コンポーネント、モデル、テストケースなどの安全なやり取りが可能です。

規格と主導団体

規格と主導団体

FMIインターフェースを使用した様々なドメインモデルのコ・シミュレーション

ETASはASAM、AUTOSAR、Advisory Committee, ProSTEP iViP、Virtual Vehicleなどの、仮想化を推進する規格団体や主導グループに積極的に参加しています。

ASAMは開発プロセスにおけるデータの交換を容易にするために、ツールのインターフェースを定義しています。 ASAM規格にはプロトコル、データモデル、ファイルフォーマット、自動車用電子制御ユニット(ECU)のテスト、検証、適合のために使用されるアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)などがあります。

AUTOSARはECU基本ソフトウェアの標準化など、車載ソフトウエアアーキテクチャの共通化をサポートする仕様を提供します。

Modelica AssociationによるFunctional Mock-up Interface (FMI)は、異なるソフトウェアシステムからのモデル交換とダイナミックモデルのコ・シミュレーションをサポートします。 FMI Advisory Committeeのメンバーとして、ETASはさらに仮想環境用ツール使用を拡大するためにFMIの標準化を推進しています。

国際団体であるProSTEP iViP革新的なソリューションと製品データ管理と仮想製品生成のための革新的なソリューションと規格の開発に取り組んでいます。Smart Systems Engineeringワーキンググループは、学際的で企業間共通のモデル交換に焦点を当てています。

VIRTUAL VEHICLE、アプリケーション指向の車両開発および車と鉄道の将来の車両のコンセプトを扱う、国際的な研究開発センターです。主な分野は数値シミュレーションと実験的検証、さらに車両完成までのシステムのシミュレーションに至るまでの複合的アプローチです。

XiLアプローチ

組み込みソフトウェアおよびシステム開発におけるXiL

異なる抽象化レベルでシミュレーション技術を適用することで、複数種類のクローズドループテストのセットアップが可能になります:

  • Model-in-the-Loop (MiL)
  • Software-in-the-Loop (SiL)
  • Hardware-in-the-Loop (HiL)

ETAS のXiLアプローチ

ETAS のXiLアプローチはこれらをまとめたもので、次のコンセプトを含みます:   

  • XiL (X-in-the-Loop)XiL (X-in-the-Loop):テスト中の任意の制御モデル、ソフトウェア、またはハードウェアをXで表します。
  • XiLはMiL、SiLやHiLテスト環境を意味します。
  • XiLはモデル、テスト、データ、およびツールを再利用することにより、MiL、SiL、 HiLと実環境の間のシームレスな移行を目指すものです。

ハードウェアコンポーネントを統合することで、XiLはプロトタイプ段階の車載システム上の新しく設計された制御機能や、仮想ECUと実ECUの組み合わせなどを検証することもできます。

ツール

ETASはすべての開発フェーズで仮想化のためのツールを提供しています:

  • モデルベースのソフトウェア開発 ASCET
  • 制御機能のプロトタイピング INTECRIO
  • AUTOSARのためのETASの仮想ECU: ISOLAR-EVE
  • PC上でのSimulink®制御モデルの検証とプレキャリブレーション INCAINCA-SIPおよびINTECRIO-RLINK
  • INCA によるPC上でのSimulink®制御モデルの検証とプレキャリブレーションを可能にする INCA-FLOW
  • データに基づく正確なモデルの生成と複雑なシステム挙動の最適化 ASCMO

ETASツールはオープンかつ、規格準拠です。

コンサルティング&エンジニアリングサービス

コンサルティング

ETASは既存のモデルの改善はもちろん、燃料電池の高度な挙動シミュレーションなど新しいモデルの開発にも弛まぬ努力を続けています。お客様のニーズに対してシミュレーションモデルを完璧に一致させるために、ETASはコンサルティングおよびエンジニアリングサービスを提供しています。.

ETASのコンサルティングサービスは、車載システム・ソフトウェアの開発に幅広い専門知識を提供し、お客様が仮想化技術を最大限活用して開発プロセス、手法、およびツール環境の最適化するために強力なサポートを行います。

エンジニアリングサービス

ETASは世界のどこでも、お客様のご指定の地域でオーダーメイドのソリューションのエンジニアリングサービスを提供します。さらに、そのソリューションを使いこなすためのトレーニングも提供しています。

ETASの仮想化ソリューションをお客様のご要求に確実に一致させるため、他社製のツールやモデルを含む既存環境へのソリューションの統合は、ETASのサービスポートフォリオの重要な要素となっています。

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