車両ダイナミクス制御用ECUのテスト

しかし、いつでも実際の車両コンポーネントでテストを実施できるというわけではなく、実施できたとしても実際に役に立つテストになるとはかぎりません。テストコンポーネントを入手できなかったり、入手できたとしても肝心な動作状態をモデリングするのが困難だったりということが往々にして起こります。そのような場合は、ハードウェアインザループ(HiL)システムと実コンポーネントのシミュレーションモデルを使用してテストを行います。これらのシステムとモデルを使用することで、安全で再現性のあるテストを行うことができます。
ETAS LABCARテストシステムは、あらゆる種類の車載ECUテストに適用できる完全なソリューションを提供します。PCベースの LABCAR-RTPCをシミュレーションターゲットとするオープン構造のテストシステムなので、あらゆるお客様のニーズや変化する要件に適応させることができます。
ETAS LABCAR-MODEL-VDYN(HiLテスト用の車両ダイナミクス挙動シミュレーションモデル)モデルは、車両のダイナミクス挙動を計算します。このモデルには、シャーシ、ステアリング、タイヤ、トレーラといった車両コンポーネント、および車道や走行環境のモデルが含まれています。さらに、定義済みの車両ダイナミクステストのシナリオも製品内容に含まれています。また、LABCAR-MODEL-BKHDという油圧ブレーキモデルも別途ご注文いただけます。
このモデルをLABCAR-MODEL-VVTB(HiLテスト用の仮想車両テストベンチシミュレーションモデル)で補うことにより、仮想ロードテストでECUをテストすることができます。これを利用すると、たとえばスプリットµ路の運転状況におけるESP(エレクトロニックスタビリティプログラム)ECUの挙動を分析することができます。
すでにLABCAR-MODEL-VDYNを導入しているRobert Bosch GmbHでは、このモデルを活用して車両ダイナミクスECUのテストを実施しています。
主要な使用事例
- 運転状況の定義と見える化
- ABS(アンチロックブレーキシステム)、ASR(トラクションコントロール)、EBS(電子ブレーキシステム)、エンジンドラッグトルクコントロール、EPS(電気式パワーステアリング)、ESP(エレクトロニックスタビリティプログラム、横滑り防止装置)、ヒルスタートアシスト、パーキングブレーキ、TSA(トレーラスタビリティアシスト)などの車両ダイナミクス制御用ECUのファンクション開発、テスト、初期プレキャリブレーション
- HiL ネットワークの車両全体のシミュレーションの中でコンポーネントモデルとして使用
- 認証の補助
利点
- 長年にわたってこの分野で実力を発揮しているロバストなモデル
- 多彩なコンフィギュレーションオプションにより幅広く使用可能
- トランスペアレントなオープン構造と標準化されたインターフェースにより、お客様固有のアドオンも容易に導入可能
- 運転操作とシナリオを容易に定義可能
- LABCAR-MODEL製品群の他のシミュレーションモデルと結合可能
ETASは、ハードウェア、ソフトウェア、モデルはもちろん、カスタマイズのためのエンジニアリングサービスや専門コンサルティングもご提供できるワンストップショップです。